仕事に復帰して保育園に預けることを決めているご家庭は、復職した時に少しでもスムーズに新生活に移行するためには、入園前から母子分離を経験させておく方がいいのかどうか悩むところではないでしょうか。 母子分離の練習はある程度しておいた方がよいとは聞くものの、実際のところはどうなのか気になりますよね。

こんにちは、子育て支援員のさくらこです。今回は私が母子分離を目的として「一時預かり」を利用した経験談をご紹介します。
母子分離の練習のために一時保育を利用
我が家は子どもが1歳の時に、育休から復帰して保育園に入園させることになりました。
朝の9時から17時まで預ける予定をしておりましたが、ちょうど人見知りの時期でもあったのでそんな長い時間、私と離れることができるのだろうか?と不安がよぎり、ネットで先輩ママの体験談などを読みあさりました。
その中でいくつかの体験談の中に「入園前には母子分離を経験させておくことは必要」という記事を目にしました。 スムーズな復職を果たしたいと願っていた私は早速、自分の住んでいる地域で一時預かりをしている施設を探しました。
調べてみるといくつかあり、金額や利用条件等を考慮し公立の保育所の一時預かりを利用しようと考え電話をして利用登録のお願いをしました。
保育所では一時保育の利用前に、丁寧に面談をして下さり、利用目的は「人見知りの娘に保育園入園前に母子分離を経験させたい」という理由もお話して活用をすることにしました。

一時保育は待機児童の解消目的であることが大きいので就労が理由の時と、リフレッシュなど就労以外が目的の場合では金額が全く違って設置されている施設が多いので、施設に問い合わせしてみてくださいね。
最初は午前中だけ、週に2回くらいのペースで様子をみながらスタートすることになりました。預けた初日は娘も何が起きたのかわからず、きょとんとした様子で私がバイバイをすると大泣きし始めました。
そんな娘をベテランの保育士さんが優しく抱っこしてくれています。2回目、3回目になると娘は保育園の近くの踏切を渡るとまた保育園に行くのだと察して泣き出しました。
保育士さんによると、預けてしばらくは泣いているけれどもやがて落ち着いて静かに遊びだすとのこと。5回目から給食の時間もはさんで午後お迎えに行くようにしました。
毎日通っていたわけではないでスタートして1か月くらいは預けるたびに泣いていた娘でしたが、やがて私と別れるときには保育士さんに抱っこされながらバイバイと手をふるようになりました。
一時保育利用から本格的に保育園生活開始
いよいよ仕事の復帰日が訪ずれ、本格的に保育園生活が始まりました。保育園に入るとまず最初に子どもがある程度、慣れるまでの「慣れ保育」の期間があります。最初の2~3日は2時間くらい。そして徐々に伸びていきます。
一時保育で通っていた園ではないので娘にとっては新しい場所です。
最初は新入園時が周りで泣いているのにつられて娘も泣いていましたが、わりと早く泣かなくなったようで、私が去った後の様子なども保育士さんから聞く限りでは、事前に慣らしておいてよかったのかなと当時は思いました。
保育園での様子も保育士さんの手を特別煩わせるようなこともないとのことでした。このままこちらの園でお世話になろうと思っていましたが、娘が2歳半の時に妊娠が発覚し、体調不良で悩んだ末、仕事を辞めることにしました。仕事をやめるに伴い、保育園は退園しました。
退園したことでゆっくりと娘との時間をともにする中で気が付いたことがありました。娘の表情が目に見えてかわったのです。保育園に行っていた時よりもいろいろな要求をしてくるようになりました。2歳という発達段階もあるかとは思います。
そんな娘の様子を見て、新生活にすんなり慣れていたようにみえたけれども、実は表に出してなかっただけで、がまんをするくせがついていただけだったのではないかと、申し訳なくなりました。
母子分離ができるようにさせることより大切だったこと
一時預かりを利用することは、母子分離に慣れるだけでなく他にもたくさんメリットはあります。
最大のメリットは家族だけではなく、保育士さんや職員の人たちからのいろいろな愛情を受け取って生活できること。家に閉じこもっているだけは経験できないことです。
家では作らないような給食やおやつを食べたり、同じ年齢の子とふれあう大切な経験ができます。集団生活に慣れるということも早くできるようになるでしょう。
ただ母子分離の練習が目的というだけの理由であれば、保育園に入る前にわざわざ経験させる必要はなかったのかなというのが私個人の感想です。
一時預かりを受け入れて下さった保育園もきっと、母子分離だけを目的とした一時預かりは必要ないと思っていたのではないかと思います。
保育園入園を不安に思う母親の気持ちへ寄り添った支援だったのではないかなと今となっては思います。
母子分離がすんなりできて、子どもが泣かないで保育園に通うことが必ずしもよいわけではありません。
娘の場合はまだその時期ではなかったのに私の不安から母子分離を無理やり経験させることになってしまい、結局は早い段階から「がまん癖」を強いてしまったのかなと思うと入園前に無理に慣れさせる必要はなかったという思いに達しました。
まとめ
私の結論としては「母子分離に慣れることが目的であれば一時保育を利用する必要はなかった」です。
しかし、預かって頂いている間にやらなくてはいけないことをストレスなく済ませたりできたメリットは多いにありました。こういう時間を持てることも「一時預かり」事業のお陰です。
いざ保育園に通園するようになれば入園前に母子分離の経験がなくても、プロである保育士さんがちゃんと子どもがどのようにしたら園に馴染むかを一緒に考えてくれます。
個人的には入園する前は母子分離に頑張る時間じゃなくて、ゆっくり絆を深める時間で良いのだと思いました。
子どもが安心・安全だと思えるいつでも戻れる場所があるとわかれば、時には勇気が必要なことにもがんばって進んでいけるものなのだとその後の我が家の娘の成長を見て実感したことです。