今回は「子育ては上下の関係にならないことが大事」というテーマでお伝えしたいと思います。親子なのだから、親は養育の責任者ではあり、人生の大先輩であります。しかし、子どもが産まれた時に、私たちも親としての生活が新スタートするのです。一緒に成長しているのです。親は子どもを指導する立場であり、上下関係であるのは当然という考え方を手放すと、子どもの自主性や自己肯定感も育っていきます。
子どもと対等な関係になることで信頼関係が構築できる
私が子育てで大切にしているのは、親子が上下の関係にならないことです。これから色々なことを経験したり、体験していく子どもに対して、自分で出来たことや、人として正しい行いができた時には、褒めるのではなく、「うれしかった」とか、「ありがとう」といった子どもと対等な立場での声がけが自然とでてくるようになります。上下関係にならないようにしようと意識することで、子どもへの言葉がけもかわってくるのです。
言葉がけがかわれば子どもの行動する目的がかわります。子どもが親から褒められることを目的とせずに自分で考えて行動するようになり、親から認められているという安心感のもと、自主性をもつようになりやすくなり、自己肯定感の高い人間に育つのです。
すべてが初体験、未熟な子どもに対して、経験値のある親が上の立場で、「○○ができて偉いね」とか「○○ちゃんってすごいね」といって褒めるのは、一見、良い声掛けのように思いますが「褒める」という行為自体が、上の立場の人間が、下の立場の人間に行う行為であり、褒められた子どもは、親から褒められることを意識して行動するようになってしまいがちなのです。
逆に、叱る時も、子どもがそうした理由を考えず一方的に「○○したらダメでしょ」「何度言ったら分かるの」のように、上から下への声掛けだと、子どもの自尊心を傷つけてしまいます。そうなると、自発的な行動をせずに、親の顔色ばかり窺うようになり、自己肯定感も下がってしまいます。
私も子どもに対しての言葉は、良いことをしてくれたら「ありがとう」、間違ったことやミスがあれば「○○してくれてら嬉しかったよ。」「○○したら良かったんじゃない」といったアドバイス、声がけをしています。また、自分自身に落ち度がある場合も、素直に「ごめんね」や「間違えちゃった」と誤りを認め、偉ぶらないよう心掛けています。そうすることによって、親子の信頼関係もより深まると感じています。
子どもと対等な立場でいることを意識しはじめた理由とは
親子の関係性の中での上下を意識した理由が、かつて受講した子育てセミナーで、講師の方から子どもと対等で接することの大切さを学び、非常に共感が持てたからです。
セミナーでは、子育てをする親の立場をプレッシャーに感じることなく、この世に唯一無二の存在で生まれてきた我が子のすべてを、ありのまま認めてあげるということを基本方針としていました。確かに、セミナー受講前は、初めての子育てで、親として子どもの手本にならなければいけないとか、褒めて伸び伸び育てようという意識が強く、子どもへの接し方も、親の言うことを利かせようにしたり、自らの信念に従って、正しい方に誘導したり、先回りをしたりというようなことが多々あったように思います。
しかし、本セミナーにより、まずは親が子ども自体の存在を受け入れることや、その可能性をすべて信じてあげることの大切さ学んだことで、親としてのプレッシャーから解放されるとともに、対等の立場で一緒に成長していこうというマインドに変わっていきました。
セミナー以外にも、将棋の藤井聡太さんの子育ての参考としていた「モンテッソーリ教育」の本を読み、子どもの持つ真の可能性を導くためには、子どもを親の鋳型にはめることなく、子どもの価値観、秩序、感性をありのままで受け入れることの重要性を再認識しました。
そのようなセミナーの受講、参考書を読んで以降、子どもへの実際の声掛けも、褒めるのではなく、感謝する。叱るでも、否定するのでもなく、共感して、一緒に考えるといった対等な立場での声掛けや接し方を実践するようになりました。
対等な立場でいようすると子育てのプレッシャーから解放される
私は以前は親が手本にならねばという意識が強く、親が正しいと思う方へ、子どもを褒めて導くことをしていました。
セミナー受講と書籍を読んだ以降、対等な立ち場を意識して接する、立場を改め今でもそれを続けていますが、果たして子どもにどのような変化が起きたのかは、まだ実践途中であり、正直、分かっていません。
けれども、親としての気持ちとしては、以前よりもプレッシャーから解放されてい、子どもに優しく接することができていると思います。
そのお陰か、元々の性格なのか、子ども自身は、親のプレッシャーを感じることなく、好きなことを話し、好きなことをやり、伸び伸びと育ってきていると感じています。例えば、勉強面では、得意とする教科はやる気のオン、オフに波はありますが、自分のペースで前向きに取り組んでいますし、チャレンジ精神も見られます。また、自分のやりたい事、親に連れてって欲しい場所、やって欲しいことは勝手気ままに話してくれるので、精神的にも伸び伸びとしいて、親としても心配事はありません。
まだ実践から数年しか経っておらず、子どももまだ小さいので、これからどんな効果があり、どんな人生を本人が自らの足で歩んでいくは未知数ですが、今の時点では、自分の親としての接し方は間違いではなかったかなと自負しています。
親という漢字は、「木」の上に、「立」って、「見る」と書きますが、その文字通り、子どもの自発的な考え、行動を少し離れたところで見守り、相談、支えが必要な時には対等な立場で、そっと背中を後押ししてあげられるような存在でありたいと思っています。