母乳育児は赤ちゃんをいろいろな病気から守ってくれると言われています。母乳育児は推奨されていることもあり、我が子を母乳で育てたいと考えているママは多いのではないでしょうか。
でも自分が体内に取り入れたものが赤ちゃんに受け継がれると思うと「質の良い栄養が赤ちゃんに届いているのかな?」と不安に感じてしまう時ってありませんか?

こんにちは。栄養って目には見えないからこそ、不安になってしまう時がありますよね。そんな不安を解消するために管理栄養士さんに母乳について教えて頂きました。
この記事は、母乳の栄養素が気になる、良質な母乳を与えたいと考えていらっしゃるかたに、管理栄養士さん直伝の情報をご紹介します。
母乳育児に自信をもってできるように、しっかりと知識を得てママの身体作りをしていきましょう。
母乳育児が推奨される理由
母乳育児が推奨されている理由として下記のようなことが言われています。
授乳によりスキンシップをとることで人格形成によい影響を与える
乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防

私は二人の子どもを完全母乳で育てました。粉ミルクを使用しなかったので、自分が摂取する栄養については意識しました。
結論から言うと、私は母乳育児を選択してよかったなと感じています。
母乳育児をするために食事などに気を配り、健康的な生活を送ることができています。
母乳栄養の特徴と効果
分娩後約1週間までの間に分泌される母乳を初乳、分娩後約10日から分泌される母乳を成熟乳といいます。
多くのママ達は産後すぐから頻回授乳することで、4日目頃から徐々に母乳の分泌量が増加し、2~3週間後までに安定してくるといわれていますが、体質や心身の状態によって違いはありまますのでおおよその目安としてとらえてくださいね。

初めて授乳する時は助産師さんがいろいろ教えてくれるから安心して大丈夫よ!
初乳の特徴と効果
- 分泌量が少なく、黄色く粘りがある。
- 細菌やウイルスに対する抗体を持ち、新生児の感染性性下痢の予防に役立つといわれている免疫グロプリンAや感染抑制作用のあるタンパク質成分を多く含んでいる。
- 乳児が産まれてはじめてする便の排出を促す。
- 成熟乳に比べると、タンパク質やミネラルを多く含み、乳糖が少ないのが特徴。
成熟乳の特徴と効果
- 腸内の乳酸菌繁殖を促す作用がある。
- 生後数か月間は母乳のみで育てることが可能なくらい、乳児の健康に必要な栄養をバランスよく含んでいるため、生後数か月間は母乳だけで育てることが可能。
授乳栄養の中で母乳栄養が優れているとされる理由
赤ちゃんに必要な栄養素をすべて適切な割合で含んでいて、ほとんどすべてが消化吸収されるので代謝機能の負担が少なくてすみます。
健康面では次のようなメリットがあります。
- 免疫グロプリンA、リンパ球、ラクトフェリン、リゾチームなどの感染抑制物質を含んでいるため、乳児に抵抗力がつく。
- 乳酸菌(ビフィズス菌)の増殖を促して腸内での雑菌の繁殖を抑えたり、ミネラルの吸収や、ビタミンB群の合成を促進する。
- 母乳は乳児の身体と同種のタンパク質のため、アレルギーが起こりにくくなる。
反対にデメリットとして、母乳の中にはビタミンKが必要量含まれていないことからビタミンK欠乏症が起こることがあります。

産院ではビタミンKシロップをもらって、赤ちゃんに飲ませるように教えてもらったわよ!
授乳期のママが積極的にとりたい食べ物
母乳の主成分はママの血液です。つまり、授乳期はたくさんの血液が母乳作りのために使われるため、血液の材料となる必要栄養素を積極的にとらなければなりません。
メニューは、野菜をたっぷりとれて油の使用が控えめな和食がおススメです。具だくさんのみそ汁や根菜がたっぷりの煮物などは栄養豊富な上に体を温めてくれます。
鉄分
鉄分は血液作りに欠かせないミネラル。妊娠・授乳期は特に不足しがちな栄養素で、そのため貧血になる女性が多いのです。
代表的な食べ物
ひじき、ほうれん草、小松菜、納豆、豚レバー、鶏レバー、プルーン
カルシウム
授乳期のママは母乳作りのために大量のカルシウムを失いやすく、骨や歯がもろくなりがちですので積極的にとりましょう。
代表的な食べ物
ヨーグルト、牛乳、小魚(ししゃも・じゃこなど)、小松菜、モロヘイヤ、厚揚げ、ひじき
葉酸
妊娠中は積極的にとることをすすめられていますが、授乳中も欠かせない栄養素です。
代表的な食べ物
枝豆、納豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、芽キャベツ、ほうれん草、アスパラガス、春菊、いちご
なるべく控えたい食べ物
授乳期にはママが体内に取り入れたものが母乳の成分になるため、なるべく控えた方がよい食べ物もあります。しかし、全く食べないことでストレスになるようであれば、次の授乳までの間に少し時間を空けてとるなど上手に調整しながら食事を選んでいくことをおススメします。
砂糖や油が一杯入ったお菓子や揚げ物
母体の血液がドロドロになって質の悪い母乳を作ってしまいます。乳腺炎になりやすい人はちょっとの量でも引き金になってしまうこともあるようです。
アルコールやカフェインの入った飲み物
嗜好品は好きな人には気になるところですよね。私が育児中に参加した栄養講習会などでは必ずといってよいほどママ達からアルコールやカフェインはダメなのか質問が出ていました。

育児中は疲れから、嗜好品が欲しくなってしまうのよね
アルコールは、母体の血中アルコール度数とほぼ同じ濃度で母乳にもアルコールが入ってしまうので、赤ちゃんの体に大きな影響を与えてしまいます。赤ちゃんは肝臓の働きが未熟なことからアルコールをうまく分解できないため、体内に残ってしまいます。
カフェインに関しても母乳を通してカフェインが移行し、赤ちゃんの寝つきが悪くなったり、落ち着きがなくなったりする可能性があります。1日2〜3杯飲んでも問題はありませんが、大量に摂取することは避けましょう。
身体を冷やすような野菜(夏野菜など)や冷たい飲み物
女性の身体に「冷え」は大敵です。特に妊娠中や授乳中などは身体を温めて血液の巡りを良くするようにしていきたいものです。ナス、キュウリ、トマト、スイカなど夏に食べるものは身体の温度を下げますので、根菜などを選ぶようにする方がよいです。
冷たい飲み物も身体を冷やしてしまいますので白湯やハーブティなど身体が穏やかな状態を保てるような飲み物にしましょう。
インスタント食品
疲れていると利用したくなりましよね。しかし資質や塩分が多くなりがちですので、なるべくインスタント食品をとらなくてすむように作り置きなどで対処できるように工夫してみましょう。
栄養をきちんと届けるための授乳方法
一般的な授乳方法は赤ちゃんを横抱きにして、乳房の高さと赤ちゃんの頭の高さが同じところに来るように、赤ちゃんの体全体を自分のほうへ向くような体勢をとるようにすると口に含ませやすくなります。
乳首だけでなく乳輪までしっかりと含ませることで、赤ちゃんが上手に母乳を飲みやすくなります。 乳首だけをくわえた状態だと乳頭が傷ついたり、母乳が出にくくなったりしてうまく飲めません。
赤ちゃんを胸の高さで支える時に、授乳クッションがあると便利ですよ。なければ座布団やクッションなどで高さを調整することも可能です。

栄養士さんからのアドバイス
授乳は、赤ちゃんが欲しがる時に欲しがるだけ飲ませます。授乳にかける時間は、1回
約10~15分ですが、最初の10分くらいで約90%の量を飲むので、時間を延長しても
哺乳量はあまり変わりません。
授乳後は、赤ちゃんを縦に抱いたまま、赤ちゃんの胃の部分をママの方にあて、軽く背中をたたいて排気(げっぷ)をさせてあげます。
ママの肩にガーゼなどをあてておくと、赤ちゃんがげっぷした時に口から出したミルクで洋服をよごすことが防げますよ。
母乳での栄養が足りてない時の症状
赤ちゃんが順調に母乳を飲み、栄養がとれていれば問題はありませんが、不足すると次のような問題が生じます。
- 授乳の間隔が短くなり、30分以上も飲み続ける
- 機嫌が悪くなる
- 眠りが浅くなり、夜泣きをしたりする
- 体重の増加が鈍く、発育が遅れる
- 病気に対する抵抗力が弱まる
こんな症状が気になれば3か月検診や保健センターやかかりつけの小児科の先生に相談して見て下さいね。

不安なことがあれば、どんどん相談すればいいのよ!一人で抱え込まないことが大切なの。
まとめ
今回は母乳の栄養についてご紹介しました。母乳の成分はママが体内に取り入れたものになります。赤ちゃんのためにも、身体を温めた、血流がよくなるような食べものを選び巡りの良い身体作りをしていきましょう。
しかし、ママが食べたものが赤ちゃんの健康や発育に影響がでると思うと、完璧な食事にこだわったり、できないことにイライラしてしまうことがあるかもしれません。神経質になりすぎず、時には市販のミルクを利用してママが元気に過ごせるように工夫していくことが大切です。
時間が空いたときに、色々なレシピを予め検索して合間にパっと作れるような準備をしておくといいです。
宅配サービスやネットスーパーなどを利用するのも良いですよね。
今までと大きく環境が変わることによって、いろいろなアイデアが生まれたり、他の人のアイデアを参考にさせてもらったりと楽しさが広がる時期です。できなくなることを悲観するのではなく、新しい世界を赤ちゃんと一緒に楽しんで下さいね!