子育て支援員研修の4つのコースの中の1つに「放課後児童コース」というコースがあります。
小学校の授業が終わった後や授業のない日に、共働き家庭などの子供たちがみんなで遊び、生活する場所が学童クラブ。そんな学童クラブの現場を目指す方向けのコースです。

放課後児童コースを取得したいと考えているのですが、学童クラブって具体的にはどんな仕事になのかしら?

共働き家庭の増加により、学童クラブの需要は右肩上がりとなっているため、将来性のある職種です。実際にはどんな仕事なのか一緒にみていきましょう!
学童保育(放課後児童クラブ)とは?

保育園とは違って、学校というのは15時や16時に終わってしまうことがほとんど。
高学年の子どもであれば一人で家に帰って家に入って…ということができるようになりますが、低学年ではまだまだ不安なので安心して働けないわ

共働きなので、日中、子ども達が健全に過ごせる安全な居場所が欲しい
こんな保護者の願いからはじまったのが「学童保育」です。
学童保育と呼ぶところと放課後児童クラブと呼ぶところがありますが、同じです。
学童保育とは、正式には「放課後児童健全育成事業」といいます。
厚生労働省では、学童保育のことを放課後児童クラブといい、その定義として以下のように定めています。
児童福祉法第6条の3第2項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものです。
上記条文の通り、学童保育(放課後児童クラブ)は、保護者が働いているなどの理由で、小学校が終わった後、家庭にいない子供をみてくれる施設のことをいいます。
学童保育(放課後児童クラブ)は、放課後児童健全育成事業の一環で、厚生労働省が所管していますが、自治体や設置管理者によっては、「〇〇学童クラブ」「〇〇放課後児童クラブ」「〇〇学童保育」など、個々の名称があります。
学童保育(放課後児童クラブ)の職員の役割
学童クラブには子どもたちの健康の向上と、心を豊かにするという目的があります。
職員はその目的を達成できるように、遊び場となる部屋を掃除したり、使用する遊具の点検をしたりして、子どもの安全を確保しながら遊びの指導を行う役割を担っています。
就労や通院などの理由から日中に子どもを保育できない保護者に代わって、子どもを預かるのが役割になります。
子どもたちに学校でもない家庭でもない「第3の生活の場(安心して過ごせる場)」を提供することが役割といえるでしょう。
放課後児童支援員と子育て支援員の違いとは?

学童クラブと検索すると「放課後児童支援員」というワードが出てくるのだけれども、子育て支援員とは別なの?
放課後児童支援員とは、学童保育(放課後児童クラブ)における指導のための専門資格です。
放課後児童クラブのニーズの拡大等を背景に質を確保するために2015年に新設された資格で学童保育の規模に応じて必要な資格保持者数が定められています。
放課後児童支援員と子育て支援員はどちらも自治体の研修を受講することで取得できる点が共通していますが、放課後児童支援員は学童保育の規模によって配置基準が定められており、研修を受けるにも一定の要件が必要です。保育士なら無条件で受講する資格があります。
放課後児童支援員資格保持者は学童保育では有資格者として勤務にあたります。
一方、子育て支援員は誰でも受講することができ、地域の子育て支援のサポートが業務内容となります。
基本的には補助者としての勤務となります。
雇用形態も正社員ではなく、パート・アルバイトという働き方が多く働く時間帯も人によってそれぞれです。
学童保育での一日の仕事の流れ

学童保育ではどういった1日を過ごすのでしょうか?

小学校の時間割や、授業の有無でスケジュールは変わりますが、一般的な流れをご紹介しますね
平日の1日のスケジュール
10:00~ 子どもたちの迎え入れの準備
子どもたちが来所してくるまでに、ミーティングや保育カンファレンスにて今日1日のおもな流れや仕事内容について職員内で確認し合い、それが終わると施設の清掃や子どもたちが食べるおやつの準備、行事の準備や打ち合わせなどを行います。他にも下記のような準備を手分けをして行います。
- 安全点検
- 換気、掃除、整理整頓
- お便り作成やイベントの準備
- 連絡ノートの返事
- 保育日誌
13:30~ 下校後の子どもたちの迎え入れ
下校後の子どもたちの様子を確認しつつ、迎え入れたあとは出欠確認をします。連絡がなく欠席をしている子がいれば、保護者に連絡をとったり探しにいくこともあります。
14:00~ 宿題・自由遊びの見守り
子どもたちに『宿題』について声掛けを行います。その後、各自の学習時間が終わればおやつの時間まで子どもたちは自由に過ごします。
校庭で遊ぶ子もいれば、教室で読書をする子もいるので、職員は安全に配慮し見守ります。
15:00~ おやつの時間や配膳
17:45~18:00 片付け・掃除・帰りの会・送り出し
子どもたちが帰宅する15分前には、教室の片付けや清掃を行います。帰りの会では、お便りの配布や連絡事項を子どもたちに伝えます。
新学期などまだ子どもたちが慣れていない時期は、帰路のコースごとに途中まで一緒にいきます。
18:00~ 職員ミーティング・保育記録・延長児童の見守り
その後も延長時間内で学童に残る子どもがいれば引き続き見守ります。
一日の振りミーティング、保護者への連絡、翌日の打ち合わせ、清掃、片付け、戸締りなどを行います。

学童保育は学校が終わってからが本格的なスタートになるので、保育園で働くのとはまた一日の流れが全然違いますよね。自分がどんな働きかたをしたいかも考えて研修のコースは選択しましょうね
学童保育での仕事のやりがいとは?

学童保育のお仕事ってどんな時にやりがいを感じるのでしょうか?
子ども達の成長を感じたとき
学童保育を利用する子どもは低学年が多いですが、3年生になると子どもたちはお兄さん、お姉さんとしての成長した姿を見せてくれるようになります。
また、高学年になれば、低学年の子どもたちに勉強や遊びを教えたり、喧嘩の仲裁をしたり、けがをした子を介抱してあげるなど成長を職員と喜び合えるというのは大きなやりがいにつながります。
支援が必要な子どもとの信頼関係の構築を感じたとき
学童保育には特別支援が必要な子どもたちもいます。
関わりかたに色々工夫をしたり、時間をかけて接するうちに、この人は味方だとわかってもらえ意思の疎通ができるようになった時は何事にも代えがたい喜びにかわります。
補助員として必要とされるスキルとは?

研修で勉強すること以外に、身に着けておいたほうがいいスキルとかあるのかしら?

学童保育は放課後、学校から解き放された子どもたちが健全に、自由に過ごせる環境を作れるスキルが必要になってきます
コミュニケーション力
子ども、保護者、職員、地域との連携など、コミュニケーション力なくしてこの仕事は成り立たないといっても過言ではないでしょう。
また、勝手な判断で動いたりせず、他の職員と協力しながら仕事を請け負ったりしていく協調性が大切です。
「コミュニケーション力に自信がない」と感じている人は、「性格統計学」をもとにした 「伝え方コミュニケーション検定・初級講座」を受講してみるのもよいでしょう。NHKの番組内などメディアにも取り上げられる実績のある講座です。
学んだあとには「自信がない」自分から、「コミュニケーションが楽しい」自分に変化するのを感じてみてくださいね。
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寄り添い力
時には、問題だと感じる行動を繰り返す子どもや特別な支援を必要とする子どももいます。
問題だけを指摘して指導するのではなく、その行動をする背景を聞いてあげ、寄り添い信頼関係を構築することがとても大切です。
まが学童保育を利用する子どもの年齢が幅広いため、それぞれの発達にそった対応力も求められます。
子どもの年齢が高くなると勉強や人間関係に関する相談などもされるかもしれません。
根気強さ
子ども達を預かるにあたって、ケガや事故がないよう見守る責任もあります。
この年齢の子どもたちは思春期や反抗期など何かと多感な時期でもあり、小学校で起きたいじめが学童保育にまで持ち込まれるケースも少なくありません。
職員は子どもたちの言動に注意し、事態が悪化してしまわないよう配慮する必要があります。また、なかには職員に対しても悪口や暴言を吐いてくる子どももいます。
根気強く子どもと対話をしていく力も大切です。
子どもと一緒に遊ぶ体力や知識
学童保育は小学生が対象です。遊びの範囲も、サッカーやドッヂボールなどのスポーツから鬼ごっこ、かくれんぼなど動きも活発です。一緒になって遊ぶにはそれなりの体力が必要といえそうです。
また、子ども達のなかで流行している遊びやアニメを知ろうとすることも大切です。
まとめ
子育て支援員、放課後児童コース取得後に学童保育で働く姿、イメージできましたか?
学童保育では、放課後児童支援員資格保持者が有資格者としての勤務になり、子育て支援員資格を取得しただけでは「有資格者」扱いにはならなく「補助員」としての勤務になります。
子育て支援員研修では、放課後児童支援員の業務を補助員も全般にわたり基本的に担うという考え方を基本として、科目設定も考えられていますので、研修で学んだことを現場で活きた知恵にかえていきましょう。
また、補助員であっても、子ども達や、保護者からみれば「学童保育の先生」です。
責任と誇りをもって仕事に向き合っていきましょう。